進展する高齢化は日本が直面している大きな課題の一つです。
課題あるところに市場あり。高齢化は高齢者市場の拡大と捉えることも可能です。
今回は、よく言われる「2025年問題」についてさらりと解説してみます。
団塊世代が全員後期高齢者になる2025年
1947年から49年生まれの、いわゆる団塊の世代が全員75歳以上となり、後期高齢者となるのが2025年です。
団塊世代は移行戦後のベビーブーム世代であり、他の世代に比べて人口ボリュームが大きいのが特徴です。
以下の人口ピラミッドを見れば一目瞭然ですね。
ボリュームの大きいところが後期高齢者となるので、必然的に医療費が多くかかるようになりますよね。
医療費の爆増で、それを負担する現役世代が耐えられなくなる――というのが2025年問題のアウトラインです。
老人の医療費に現役世代が押しつぶされる【2025年問題】
後期高齢者医療保険制度の財源はおおよそ以下のような比率で負担されています。
- 公費負担 47%
- 現役世代の負担 42%
- 本人の支払う保険料 11%
現役世代の負担は、後期高齢者支援金という口当たりのいい名前で健康保険組合などからむしり取って行かれます。
社会保険診療報酬支払基金なる団体が請求書を送りつけてきて、支払わないことはまかりならぬと申し付けられるイメージです。
年貢の取り立てみたいなものですね。
ここでちょっと用語の整理をしておきましょう。
高齢者というのは65歳以上の人のこと
後期高齢者は75歳以上の人。健康保険は後期高齢者医療保険制度に移行する
10年で10兆円増える後期高齢者医療費【2025年には25兆円以上に】
では後期高齢者の医療費はどれほど増えるのでしょうか。
健康保険組合連合会が2017年9月にまとめた資料が上のグラフですが、2015年度から25年度にかけて高齢者医療費は1.5倍になると推計されています。
医療費全体も42.3兆円から57.8兆円に15兆円以上も大きくジャンプアップしますが、特に後期高齢者医療費の伸びが大きく、15.2兆円だったものが25.4兆円に10兆円強の増え幅となります。
総額が大きく増えるわけですから、現役世代の負担分も同じように増えることが予想できます。
会社勤めの人なら給料から天引きされている健康保険料がドカンと上がることになるでしょう。
保険料を上げなければ健保組合が赤字になって潰れます。それはそれで大きな問題ですよね。
医療費も保険料も上がる負のスパイラルにどう対応するか
- 高齢者が増える
- 医療費が増える
- 保険料が上がる
- 給料の手取り額が減る
これから間違いなく、このような負のスパイラルに入っていきます。
2025年で高齢者の増加が止まるわけでもないので、今のままでは状況は悪化する一方でしょう。
これを逆手に取ったビジネス展開が思いつかないのは残念ですが、個人ベースでは貯蓄や資産運用によって社会保険料の引き上げに対抗する、自衛していくことが大事になりますね。
今回は2025年問題についてさらりと解説してみました。お役に立てれば幸いです。では、また次回。