「失業保険が28か月もらえる方法」とか「社会保険給付金をご存じですか?」といった宣伝文句を見たことありませんか?
結論から先に書くと、失業保険(雇用保険の基本手当)は28か月もらえませんし、社会保険給付金というものもありません。
本記事では、こういうマヤカシに騙される人が出ないよう、ポイントを解説していきます。
雇用保険と健康保険を組み合わせるマヤカシ
宣伝文句の言う「28か月」は、下記のような構造になっています。
傷病手当金(1年6か月=18か月) + 失業保険(最大10か月) =28か月給付
条件を満たせば最大28か月の給付が受けられるのですが、失業保険が28か月出るわけではありません。
28か月の半分以上を占めるのは、健康保険の傷病手当金なのです。
「失業保険が28か月」と言いながら、実は健康保険と雇用保険をいいように組み合わせたマヤカシですから、こんなことを得々と説明している業者に引っ掛かってはいけません。
健康保険をバカにしきった社会保険給付金というウソ
この組み合わせを、一部のコンサル会社では「社会保険給付金」と呼んでいます。
いかにも本当っぽい名称ですが、そういう給付金はありません。
これを言っている時点で怪しい業者であることが確定です。
そもそも傷病手当金をもらう前提でいることが、健康保険という制度をバカにしきっています。
傷病手当金とは
ここで傷病手当金について簡単に説明しておきます。
病気やケガで仕事ができなくなり、給与が支払われない状態となった時に、健康保険組合(あるいは協会けんぽ)から月収の約3分の2が給付されるものです。
健保加入者の生活保障を目的とする制度で、4日以上仕事を休んでいることなどが条件となります。
国民健康保険には原則、この制度はありません。
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メンタル不全での傷病手当金申請を促す怪しさ
「失業保険が28か月」と煽る業者やコンサルの説明を見ると、必ずうつ病などメンタル不全で傷病手当金を申請する流れで記載されています。
さすがにインチキしろとは書かないでしょうが、「メンタルなら診断書も出やすいですから、ちょいと利用してやれ」という底意が透けて見えるようです。
実際にうつ病等で苦しんでいる人もいるのは承知しています。
でも、それだったら「失業保険が28か月もらえる」みたいなウソを書くのではなく、普通に「傷病手当金が18か月もらえて、その後で失業保険も最大10か月もらえる」と書けば良いだけです。
ウソついて傷病手当金をもらうのは詐欺
ウソをついて傷病手当金をもらったら、それは詐欺です。
それ以前に、不正な方法で医師に診断書を発行させた時点で、不正受給となります。
不正受給がバレると、以下のようなペナルティがあります。
- 不正行為のあった日以降の支給停止
- 不正受給した金額を全額ただちに返還
- 不正行為により受けた額の最大2倍の納付命令
- 返還や納付をしないときは財産差押え
- 悪質な場合は刑事告発(刑法の詐欺罪)される
「失業保険が28か月」という甘言につられて、不正に傷病手当金の給付を受けようとすると、逆に大損するかもしれません。
元々がマヤカシなのですから、安易にやってみようとしないことが肝心です。
本当に病気の人は遠慮なく傷病手当金申請を
本当にうつ病などの病気で仕事ができず、給料も出なくて困っているのなら、傷病手当金の申請に何の遠慮もいりません。
そのための制度なのですから、きっちり利用して苦しい時期をしのいでください。
「失業手当が28か月」「社会保険給付金」…これらのキーワードを掲げているサイトに行き当たったら、すぐに立ち去りましょう。
読んでその通りに実行したら損しますから。