シニア世代が気になる問題として、退職後の健康保険はどうなる? という記事を掲載しました。
それ以前に、そもそも健康保険についてあまりよく知らないんだよね…という人も多いのではないかと思います。そこで今回は、健康保険についておさらいしてみます。
健康保険は大きく分けて3種類
健康保険は業務外の病気やけが、死亡または出産に関して保険給付を行うもの、とされています。
すべての人が何らかの健康保険に加入することになっている(国民皆保険制度)のも、特徴の一つです。
健康保険には、大きく分けて以下の3種類があります。
- 国民健康保険(3800万人加入)
- 全国健康保険協会(協会けんぽ、3500万人加入)
- 健康保険組合(3000万人加入)
自営業の方なら国民健康保険、お勤めの方だと協会けんぽか健康保険組合がなじみ深いと思います。
どれに加入していても、原則として医療費の7割を負担してくれます。よく言われる「3割自己負担」と裏表の関係ですね。
では、一つずつ説明しましょう。
国民健康保険
3800万人が加入する健康保険界の最大勢力です。
都道府県と市町村によって運営され、個人で加入します。協会けんぽや健康保険組合のように「被扶養者」という概念がないため、世帯全員分の保険料を払う必要があります。
リタイア後の会社員等が加入するため、高齢者の比率が高くなってしまう特徴もあります。
75歳になると誰でも後期高齢者医療保険に移行することになるので、74歳までの前期高齢者の多くが国民健康保険の加入者になるわけですね。
全国健康保険協会(協会けんぽ)
中小企業の社員を中心に3500万人が加入。協会けんぽと次の健康保険組合の2つが企業勤めの人向けの健康保険で、被用者保険とも呼ばれます。
協会けんぽは都道府県ごとの運営で、都道府県によって保険料率が異なります。
保険料率とは、給料から天引きされる健康保険料の割合のこと。給与明細で見たことある人も多いだろうと思います。だいたい10%程度となっていて、従業員と会社で半分ずつを負担しています。
健康保険組合
大企業とその関連会社、あるいは同業者が集まって設立されるもので、合計して3000万人が加入しています。
企業を中心に設立される単一型と、同業者で集まって設立する総合型の2パターンがあり、組合数は全国で1400弱。
保険料率はまちまちで、10%を超えるところもあれば6%程度と低いところもあります。
従業員と会社で折半するのは協会けんぽと同じですが、健康保険組合の場合は、会社が多く負担する分には構わないことになっています。
人間ドックの費用補助、高額療養費や出産費用の上乗せ給付といった手厚い付加給付を行う組合もあります。
この他に公務員等が加入する共済組合、船員に特化した船員保険などもありますが、ここでは割愛します。
社会保険制度は勤め人が有利
協会けんぽ、健康保険組合と国民健康保険が大きく違う点は、被扶養者という概念の有無です。
両親と子供2人の4人家族で考えてみると、お父さんが会社員で協会けんぽまたは健康保険組合の加入員であれば、お父さんだけが被保険者となり、残る3人の家族は被扶養者となります(収入要件などで被扶養者にならない場合もあります)。
この場合、保険料を払うのはお父さんだけです。
お父さんが自営業だとすると、家族4人それぞれ国民健康保険に入り、それぞれの分の保険料を納めることになります。
国民健康保険には、当たり前ですが、会社負担分もありません。
仕事ができなくなった日が一定以上続いた場合に日給分の3分の2を補填してもらえる傷病手当金も、国民健康保険には基本ありません。
日本の社会保険制度は、年金などもそうなんですが、勤め人に有利なように作られているんですね。
だから会社勤めをするべきだ、という結論にはなりませんが、脱サラを考える人などはこういう点にも目配りをしておいた方がいいかな、と思います。
本記事が理解の助けとなれば幸いです。では、また次回。