大学教員や実業家など多彩な活躍を見せているメディアアーティストの落合陽一氏がワークアズライフという考え方を提唱しています。
そういう時代かもなあ、と思い簡単にまとめてみました。
ワークライフバランスからワークアズライフへ
ワークアズライフをざっくり言うと、
「仕事とプライベートを分けることなく寝ている時間以外はすべて仕事であり趣味であるという考え方」
――となるでしょうか。
特徴的なのは「ワーク」の中に仕事だけでなく趣味も包含されていることです。
落合氏は、過労死防止のために各企業が取り入れているワークライフバランスの考え方に対立するものとして、ワークアズライフを提唱したとしています。
ワークライフバランスがワークとライフを別物ととらえているのに対し、ワークアズライフはワークとライフが同じ土俵の上で共存しているわけです。
ワークとライフは一体不可分になる
昭和時代ならともかく、IT化の高度に進んだ現代においてはワークとライフを峻別することなど不可能であり、両者は渾然一体のものとなったと個人的には感じています。
新型コロナウイルス感染症の拡大を背景に、多くのオフィスワーカーが在宅勤務等のリモートワークを行ったことと思います。
コロナ禍以前から、決まった場所のオフィスで仕事をするのではなく、カフェやコワーキングスペースなどを利用するノマドワーキングが広がりを見せていました。
オフィスに縛られない働き方はコロナという偶発的な要素で爆発的に広がりましたが、素地はすでにできていたと言えるでしょう。
企業側にもワークアズライフに対応する動き
企業側にも変化は生まれていました。
経団連が2020年春闘で示したジョブ型雇用の導入提案がその一つの表れでしょう。
ジョブ型雇用とは、業務(ジョブ)に対して必要な要員を充てていくスタイルの雇用形態のことで、まずは会社の社員となってから部署をいくつか渡り歩いていく従来型のメンバーシップ型雇用とは大きく異なるものです。
ジョブ型雇用においては、何時間働いたかではなく業務に対して求められる実績を挙げたかが評価の対象となります。
オフィスで働くか在宅勤務するかは関係なく、労働時間とか定年制度などという概念も実質的には消えていくでしょう。
すでに、労働基準法に定められた労働時間等の規定を適用しない高度プロフェッショナル制度(高プロ)も、対象者は極めて少ないながらも導入されています。
ちなみに、高プロの対象者は以下のような人たちです。
- 金融商品の開発など高度の専門的知識等を有する
- 職務の範囲が明確に定められている
- 一定の年収要件(1075万円以上)を満たす
こうした変化を下支えしているのが情報端末の普及や通信技術の進歩といったインフラの整備ですよね。
どこにいても高速の通信が安定的かつ安価に確保されるからこそ、リモートワークが可能になったわけです。
スマホやノートパソコンがあり、通信回線が使えれば、カフェだってキッチンだってオフィス同様の空間となり得ますし、現になっていますね。
働く者も企業も変化し、変化の前提となる技術やインフラが整ったことにより、ワークとライフは相互に融け込み合いつつあります。
まさにワークアズライフという大きなパラダイムシフトが起こっているのを目の当たりにしているのかもしれません。
なじむ人となじめない人、なじむ業務とそうでない業務があるとは思いますが、今までの慣例にとらわれない新しい働き方が一気に普及していくような気がします。
それが企業によって賃下げのツールに都合よく使われないか? という心配は残りますが。
今回はワークアズライフについて考えてみました。では、また次回。